2018年2月7日水曜日

薬害 デング熱ワクチン


出典:ロイター Reuters

昨年(2017年)12月1日、フィリピン保健省は、前年から実施していたデング・ウィルスに対するワクチンの接種を中止したと発表しました。理由は、ワクチンを開発した、フランスの製薬メーカー、サノフィが、接種によって深刻な症状が出る可能性があると警告したため。

この記事を読んだ時、これはヤバい、大変なことになるんじゃないか、と直感しました。フィリピン政府のトップである、ドゥテルテ大統領は、どんな状況でも歯に衣着せず、ストレートな発言で有名で、たまには歯に衣を着せろよ、と言いたいぐらい。

しかしドゥテルテはフィリピンの政治家としては、例外中の例外。彼以外は、自分に都合の悪いことは、何でもはぐらかし、イエス・ノーが極めてあいまい。まぁ、これはフィリピンに限ったことでは、ないかもしれませんが。

特に今回のデング熱ワクチンに関しては、世界で初めて大規模な公的接種に踏み切ったフィリピン。自信があったんだろうし、プライドもあるでしょう。そんな背景にもかかわらず、いきなりきっぱりと中止宣言。これはよほど重大な危険性があったのかと思われても仕方がない。

悲しいことに悪い予感は的中し、ここ最近、夕食時に家族で見るテレビのニュースでは、ワクチンの接種が原因で亡くなったと疑われる子供のことばかり。子供を持つ身としては、悪夢のような出来事。号泣する親たちにカメラやマイクを向ける無神経さは、どの国のテレビ局も同じで、見るに忍びなく、途中でチャンネルを変えることもしばしば。

2月3日付けのBBCの記事によると、ワクチン接種後に亡くなったとされる子供は14名。製薬会社とフィリピンの関係者は、子供の死亡とワクチン接種に関係があるという証拠はないとしています。

これは、私がかつて見聞きした日本の薬害事件で、被害が発覚した時点で、常に当事者が言うセリフ。うんざりします。まだ黒白がはっきりしていないから、公式発表ではこうなってしまうのかも知れませんが、子供を亡くした親の立場からすれば、もうちょっと違う言い方はないものかと思う。

蚊が媒介するデング熱。毎年フィリピンでは多くの感染者が出ます。私がネグロスに移住してからだけでも、姪っ子のジャスミンを含む家内の親戚で、数人が入院。幸い全員回復しましたが、中には重篤化して、点滴だけでは追いつかず輸血が必要になってしまったことも。

我が子がデング熱に罹ったらと心配するのは、誰でも同じ。ワクチンが開発されたとなれば、すぐにでも子供に、という気持ちはよく分かります。実際、中止されるまでフィリピン国内で、80万人以上が接種を受けました。

そして、このデング熱ワクチン薬害の影響で、その他の予防可能な疾病のワクチン接種率が大幅に低下。騒ぎの中、関係者は責任の押し付け合い。住まわせてもらっている、外国人の立場で言いたくはありませんが、こういうフィリピンの一面を見ると、絶望的な気持ちになってしまいます。


1 件のコメント:

  1. 私もバコロドに赴任する前に、狂犬病とA型肝炎とB型肝炎の予防接種をしました。
    2014年でしたか、70年ぶりにデング熱感染者が日本国内で見つかったと同時期に、ヒトスジシマカがいるという東京の代々木公園が立ち入り禁止になりました。
    私もデング熱のワクチン接種をしたかったのですが、そんな騒動があっても日本国内に利用できるデング熱ワクチンはなく、現地で接種するしかないと言われてバコロドに来ました。(厚生労働省の発表では今もないとのことです。)
    そして、バコロドに来てこのデング熱ワクチンの利用中止のニュースです。
    今の私はデング熱に対して無防備の状態ですが、デング熱罹患と交通事故被害を比べると、交通事故被害の方が確率がたかいので、交通事故に気を付けます。
    本当に、ウィンカーを出さずに右へ左へ曲がったり、歩道を走ったり、逆走したり、そんな車が多すぎます。

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