2018年2月21日水曜日

昔は日本も汚かったんやで


ボラカイ島

先日、ドゥテルテ大統領についての投稿で触れた、フィリピンのビーチリゾート、ボラカイ島の水質問題。ドゥテルテ大統領にすれば当然のごとく、フィリピンの今までの常識からすれば、異例の早さで、具体的な進展の報道がありました。

名称こそ未公表ながら、51の施設に対して、処理せずに汚水を垂れ流していると指摘。数日中に返答がなければ、上水供給を止めると警告しました。脅しではなく、ドゥテルテ大統領なら間違いなく実行するでしょうね。同じやり方で、何十年も空港ターミナル使用料を滞納していたフィリピン航空に、60億ペソ(約130億円)を支払わせましたから。

環境汚染の話はともかく、それに歯止めをかけようというのは、喜ぶべきこと。私も家内との新婚時代に行ったことがあるボラカイ。あの美しいビーチと海が、いつまでもきれいに保たれること心から願っています。

しかしこのニュースがフェイスブック内でシェアされると、だからフィリピンはダメだ、自然保護の意識が皆無だと、ディスるコメントがたくさん。そういう反応があるだろうとある程度の予想はしてたものの、あまりにも思った通りで嫌になります。

これは、フィリピンに対してだけでなく、中国や韓国での公害や事故のニュースに、必ずついてくるコメントと同質のもの。日本は街並みはきれいでマナーも世界一、フィリピンも中国、韓国もまったくの後進国。日本はスゴい、日本はエラい...。

ロクに歴史も学ばず、ネット上のフェイク記事を鵜呑みにしている若い連中が言うのなら、まだ分からなくもない。ところがコメントした人のプロフィールを見ると、私と同世代か、少し上の人までいる。

昭和50年代の前半、西暦ならば1980年頃までは、日本もたいがい汚かったですよ。特に私が少年時代を過ごした1970年代の尼崎は、夏場は光化学スモッグで外で遊ぶことを制限されたし、市内の河川は全部ドブ川状態。神崎川なんて、鉄橋を渡る時の電車内にまで異臭が。日本全体でも、水俣病イタイイタイ病四日市喘息など、公害病が大問題で、サリドマイドスモンといった薬害もありました。

マナーも最低で、駅の周辺なんてゴミだらけ。映画館に入れば小便臭いし、公衆トイレは、どこでも悪夢の汚れ方。エエ歳した大人が、道に痰を吐くわ、ガムは捨てるわ、立ち小便するわ、本当にひどかった。「民度が低い」とは、日本人を指す言葉だったと感じるほど。

それだけではなく、その頃、建築関係の仕事に従事していた父によると、工事認可の手続きでは、市役所の担当職員が公然と賄賂を要求してきたそうです。そういえば役所の窓口対応も、ゾンザイなのが多かった。

つまり、40年前には、日本も同じか、場所によっては、もっとひどい状態。多少なりとも当時の惨状を知る世代ならば、とてもフィリピンの環境汚染を非難できないと思うんですけど。

その上最近では、日本人はサムライの末裔だから、昔から優れた国民だったなんて、子供みたいなことを真顔で言う人までいる始末。明治初期の調査によると、士族は全人口のたった7パーセント。幕末に日本へやって来たヨーロッパ人に言わせると、武士階級は誇り高くて、礼儀も教養もあったそうですが、それ以外は同じ民族とは思えないほどレベルが低く、まったく信用できなかったらしい。

しかも武士にしたところで、江戸時代の末になれば、200年以上も実戦経験のない、名前だけの有閑階級。家名を守ることだけが重要な、見栄っ張りで事なかれ主義者が多かった。もちろん中には、優れた事績を残した人もいたけれど、それはごく一部であって、ほとんどが凡人だったのは、今の日本人と変わらなかったでしょう。

要するに、現在の日本は、それなりに自慢できる部分もいっぱいあり、世界的に見てそんなに悪い国ではないにしても、決して昔からそうだったわけではなく、これからもずっと変わらないという保証もない。優秀な人もいればロクデナシもいる。

歴史というもは、どうやら全世界が均等に推移ものではなく、何年、何十年のタイムラグがあるようです。そして進歩だけでなく退化もある。いちいち他国民を蔑んだり羨んだりするのは、あまり賢明なこととは言えないですね。


1 件のコメント:

  1. おっしゃる通りです!
    書店で日本はすごいとか外国人が日本を称賛しているとかいう本を見掛けますが、昭和時代の酷さを知っている人からみれば恥ずかしくなります。

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