2017年12月28日木曜日

ビフォー・アフター、ネグロスでリノベ その2


今日も、ネグロス在住日本人宅のリノベをお手伝いしたお話。前回の続きです。

それほど高額ではないけれど、報酬を頂いてリノベーション・プランを考えるお仕事。現場で実測したり、家を建てた時の図面を見ながらの作業。クライアントさんとお話しながらイメージを膨らませて、パソコンに向かうときには、だいたいのアイデアが頭の中でできています。それを取り出すだけ...なんですが、これがそう簡単でもない。

実際の寸法の中に当てはめると、狭すぎたり、動線の辻褄が合わなかったり。これは家電製品のデザインでも同様で、手描きのラフ・スケッチでは上手くできそうでも、機構部品を収めて実寸の三面図に起こすと、「あれぇ〜?」なんてことは日常茶飯事。

それでも数日で、3案のアイデアを捻り出しました。松・竹・梅、費用の観点から選択できるようバリエーションを三つ用意。奥さまがフィリピンの方なので、図面への注釈は日英併記。Idea Pine(松)、Bamboo(竹)、Plum(梅)と各案にタイトル。内容はともかく、タイトルだけは、奥さまには何のこっちゃさっぱり分からんかったでしょうね。

話を伺っていた時には、できるだけ出費は抑えたいというニュアンス。でも、図面になったものを見ると、やっぱり快適なものが欲しくなるのは人情。結局「松案」で行こうとなりました。

松案のポイントは、台所の外側にあるダーティ・キッチン(日本の土間のような空間で、魚などを焼く時に、煙や臭気が室内に入らないよう作られた、半分室外のような炊事場)を、完全に室内化。そのスペースをうまく使って、奥さま念願の対面式カウンターを設える。

そして旦那さまご要望の日本式浴室は、庭に張り出す形で設置されたトイレを潰して、大きな窓のついた浴室を作るというもの。フィリピンの一般家庭では、まずお目にかかれない、ソーラーパネル式の給湯システムも導入。

それ以外では、ダイニングの隣にある小さなベッドルームとの壁を取り払う。壁の代わりにアコーディオンカーテンで仕切り。こうすることで、前述のカウンターと相まって、キッチン〜ダイニングがとても広く使えるようになり、風通しも改善するという狙い。

図面をご覧いただいて最初のお言葉が「お願いして、よかった」。これは嬉しかったですね。昔、デザイナーをやってた時は、最初にケチがついて何回もやり直したりすると、だいたいできた商品の仕上がりもイマイチ。やっぱり筋のいい仕事は、初めから関係者に気に入ってもらえるようです。

ということで、松案ベースにさらにご要望を盛り込み、少し手直しした図面を最終納品。しかしフィリピンの場合、ここからが本番。今回の仕事は、図面と大工さんの紹介がワンセットです。4年前に苦労して自宅を新築した時の人脈が生かされたという次第。

つい数ヶ月前にも、我が家の2階ベランダの工事を済ませたばかりの、大工のアントニオと、電気工事担当のサルディ。この二人は私の知るなかでも一番腕もよく、何よりお金や時間に関して信頼できる人材。フィリピンでこのレベルの人を見つけるのは、本当に至難。

それ以外の、家具職人や塗装工も、日頃アントニオ、サルディと一緒に仕事をしている人で固めることになり、我が家の新築工事のスタッフ再集結みたいな感じに。11月から工事が始まり、バスタブも無事購入。これでハッピーエンドかと思われた矢先、意外なところからトラブルが発生してしまいました。

一体何があったのか...。次回の完結編に続きます。




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