2017年12月25日月曜日

ビフォー・アフター、ネグロスでリノベ その1


ひょっとして私には、建築家の才能があったのでは? と言うのはもちろん冗談。このブログを読んでいる友達の中には、本職の建築関係者もいるので、本気で書いたらまさに噴飯物。何を勘違いしとんのやと、お叱りを受けそうです。

ただ、かつての私の専門だった家電製品のデザインは、頭の中でイメージしたアイデアを、スケッチや図面で具体化して、最終的には現実の形あるものに落とし込む作業。スケール感が全然違うとはいえ、仕事のプロセス自体は似通った部分も多い。

数ヶ月前、ネグロス島在住のある日本人の方に頼まれて、ご自宅のリノベーションプランを作りました。なぜそんな身の程知らずなことを?

この方、もうかなり前からリノベを計画されていて、すでに現地の建築・施工業者に図面まで描いてもらっていたそうです。ところが今ひとつ内容が気に入らないのと、ネグロスならば、普通に新築一軒を建てられるほど高額の費用見積もり。コストダウンの案を頼んだら、さらに高くなったりして、すっかりその業者への不信感が募っていました。

考えた挙句に、4年前に完成した我が家を参考にしたいということになり、間取りの一部や内装デザインを、私が自分でやったという話から、今回のお手伝いに発展したいう次第。自宅ができてからも、2階ベランダの屋根を追加したり、浴室を改造したりで、素人なりに経験を積んだので、何とかなるでしょうと有償で引き受けました。

とは言っても、建築士の免状があるわけでもなく、構造計算など当然無理。なので、柱や梁の位置を変更するような大規模なリノベではなく、せいぜい壁の一部を剥がしたり追加したり、窓や扉の増減で済む範囲で、アイデアを作成。

最大のご要望は、日本式の湯船に浸かれる風呂場の新設と、台所を広く快適にしたいとのこと。現状では、かなり狭いシャワールーム兼トイレ(フィリピンでは「CR」 Comfort Roomと呼びます)がなぜか3箇所。マスターベッドルームは、そこそこの広さだけど、狭いベッドルームが2つ。日本の感覚で見れば、余裕の総床面積なのに、無意味に小割りの、実にもったいない間取り。

こういうレイアウトは、こちらではよく見ます。フィリピンではベッドルームとCRの数が、一種のステータス。転売する時には、この数が多いほど値段も上がる。平均して子沢山で、3世代同居、親戚が一緒に住むことも珍しくないこの国では、分かる気がします。しかも、この家は、もともとサブディビジョン(住宅地)のオーナーが、宣伝用に建てたモデルハウス。

新築で設計・施工からに比べたら、おそらく格安だったんでしょう。しかし、今お住まいなのは夫婦お二人。小割りで設えたサブ寝室二つがデッドスペースの物置状態。そして必要以上に壁で区切られているため、風通しが悪い。周囲はそれほど建て込んでいるわけでもなく、海も近い。晴れた日に外に出れば、気持ちのいい風が吹き抜けているのに、これまた実にもったいない。

ということで、使い慣れたイラスト専用のパソコンアプリで、用途違いの建築平面図を描き起こすところから仕事を始めました。これも自分の家の間取りを考える時に、散々使った手法なので、私としては手馴れたもの。そして最初のアイデア提示。こればかりは、デザイナー時代から変わらない、ちょっと緊張する瞬間です。

さて、その結果は...。次回に続きます。


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