2017年11月17日金曜日

ネグロス引きこもり


「引きこもり」という言葉。今の日本では、とても悪いイメージになってしまいました。元々そんなに良い意味で使われることもなかったにしても、最近では、何年も何十年も自室に閉じこもって出てこない(出てこられない)ような、心の病を負った人を指す言葉として、定着してしまった感があります。

日本の厚生労働省が、引きこもりの定義、なるものまで制定。それによると....。

仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅にひきこもっている状態。

これは、時々買い物に出たりする程度も含まれるとのこと。そうすると、かく言う私も、実は引きこもりではないかと、最近気づきました。

息子を毎朝学校に車で送っていくのと、日曜日朝のミサ。他には月に1〜2回の買い物ぐらいでしか、自宅の外に出ることはあまりない私。家内と子供、そして住み込みメイドのネルジー以外、本当に会話もない。これでは英語は錆び付くし、イロンゴ(西ネグロスの方言)を覚えられないのも無理ないですね。

また、ここで指摘されている「交流」が、SNSやLINEなどでのネット経由のコミュニケーションを含まないとすれば、私の引きこもり度はさらにアップ。やっぱりこっちで定職に就いていないのが大きい。

だからと言って、辛いとか生活を改善しなければとかは、全然思わない。筋トレに自転車漕ぎで、それなりの運動量は確保しているし、早寝早起きに規則的な食事の、かなり健康的な状態なので、体調は良好。

しかも、「画家になりたい」「作家になりたい」という昔からの夢が、ある意味で実現しています。似顔絵イラストとブログが、画家と作家の仕事に値するかどうかは、少々怪しいですが、本人が満足しているのでご勘弁を。

こんな暮らしができるのも、住環境が充実しているお陰。これは、フィリピンに限らず、また海外・国内無関係に、引退生活を快適に過ごす上での、最重要ポイントと言えそうです。特にフィリピンの場合、居心地がいい家が手に入れられるかどうかが鍵。フィリピン移住に際しては、この点私は、ずいぶんと綿密に計画を練ったし、相当な投資もしました。

言葉を変えると、引きこもりができるほど居心地のいい場所がなければ、引退後の生活は、かなりストレスに満ちたものになってしまいます。これは必ずしも、自宅である必要はありません。定年後フィリピンに移住して、辛い思いをされているのは、居場所作りに失敗しているケースが多いのでは、というのが私が推測するところ。

おそらくフィリピン移住を考えている、中高年の方は、もっと具体的にどうすればいいのかと訊きたいところでしょう。ところがこれは、その人の経験や置かれている状況によって千差満別。こうすれば誰でも大丈夫な処方箋はありません。

なので以下は、飽くまでも私の場合。
まず、大量の蔵書を収納できるだけの書斎。これは一人になれる個室という意味もあります。そして最低限のネット環境と、騒音に悩まされない、そこそこ閑静な場所。その他、細かく上げるとキリがないにしても、この三つは最初から意識しました。

ここまで書いて、これは「引きこもり」ではなく、「隠棲」とか「隠遁」と言った方が適当なんじゃないかという気もしてきました。もっと気取って言うと「世捨て人」かも。いずれにしても、家族以外とリアルなコミュニケーションが少ない=不幸せ、でもないことを強調したい。

そういうことで、日本でのリアルなコミュニケーションに疲れ果てた、私のような人間の場合、鬱陶しい人間関係を断ち切れる、ネグロス引きこもりライフは、一種のユートピアだと感じております。


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