2017年8月18日金曜日

「まだ東京で消耗してるの?」を読んで


しばらく前に出版された、有名ブロガーのイケダハヤトさんの本「まだ東京で消耗してるの?」。結構話題になったようですね。私も先日、電子書籍版を購入して読んでみました。

ネット上では、既にずいぶんたくさんの書評があって、毀誉褒貶さまざま。ここで本の内容を改めて詳しく説明はしませんが、要約すると、何をするにも不便で生きづらい東京を捨てて、田舎に移住して違う環境に身を置けば、人生が変わる。昔と違って21世紀の今では、田舎のメリットは驚くほどたくさんありますよ。ということ。

フィリピンのネグロス島に移住した私としては、つい「まだ日本で消耗してるの?」と読み替えたくなります。ググってみると、やっぱり同じこと考えている人が多くて、この投稿のタイトルで真似するのはやめたほど。

でも読後感としては、海外移住を考える際に参考にできそうな記述も多々ありました。例えば「東京の子育ては、親に罪悪感を抱かせる」「地方で豊かな人生を生きなおす」「月3万円で駐車場・庭・畑付き一軒家に暮らす」「地方移住で過酷な子育てから解放される」

これは、「東京」を「日本」に、「地方」を「ネグロス島」に置き換えても十分通じる、今現在の私の実感。

小学生の子供を連れて、家族でネグロス島シライ市に来て、一番良かったのは住環境の劇的な改善と、子育てのしやすさだろうと思います。ただし私の場合、住みやすい家を建てるには、10年がかりの周到な準備があってこそ。誰でもここに来れば、広くて快適な家に住めるわけでもありません。

また子育てについても、家内の実家近くに住んでいる関係で、親戚の協力を得られたり、子供自身が思ったより早くネグロスの暮らしに馴染んでくれたことは幸運でした。それにしても、子供がたくさんいるのが当たり前で、いじめの心配をしなくてもいいのは大きい。

次に、「田舎に行きたいなら『二段階移住』が大前提」「移住地には難易度がある」「移住前に旅行して、知り合いを作っておく」

こちらは、フィリピン移住(おそらくそれ以外の海外移住)にも適用できる心構え。日本並みの国土面積と人口を擁するフィリピン。場所によっては住み心地にも、天地ほどの差があります。よくあるパターンが、フィリピン人配偶者の故郷にそのまま住むスタイル。これも必ずしも悪いとは言いませんが、配偶者の家族や親戚が付き合いやすい人とは限らないし、住むにも子育てにも劣悪な環境だったりする可能性も。

最初のベースキャンプとして、現地での義父母宅やその近所に数週間から数ヶ月ほど滞在するのはいいけれど、いきなり土地家屋に投資してしまうのは、まったくお薦めしません。また信頼できるフィリピン人(親戚でも友人でも)を確保しておくのは、本当に重要。

私の場合、結果として家内の生まれたネグロス島のシライに住んでいます。しかしこれは、15年間も里帰りの度に、本当に移住して大丈夫かどうかを見極めた結果。もし不安があれば、同じネグロス島内でも、別の街を探していたでしょう。

さて、フィリピンと決定的に違うのは、仕事に関する記述。暮らすにはいい場所でも、日本にいた時よりも収入がアップしたり、見方を変えるだけで、いくらでもビジネスのチャンスが転がっている...とは思えないフィリピン。特にマニラ首都圏の過密や交通渋滞ぶりは、東京とさほど変わらないか、もっとひどいかも知れません。

ここネグロスでも、ネット活用や日本人顧客を見つけるなどの活路を見出せば、可能性がないわけではないものの、これから学ぼうという若い人ならばともかく、やはりフィリピンでも役に立つ技能や知識がないと、こちらで生きる糧を見出すのは難しい。ということでネグロスに住んで、「まだ日本で消耗してるの?」と言うには、ある程度の蓄えができて、働かなくても生活できる備えが必要なようです。


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