2016年11月19日土曜日

突然介護 両親のフィリピン滞在・中編

今年八十歳になる両親のフィリピン滞在レポート、前回の続きです。

さほど暑くもなく雨もあまり降らず、食事には満足して機嫌よくのんびりの両親。土曜日の午後、いつもの出張マッサージのおねえさんに、両親の施術も頼むことになりました。すっかりリラックスしてるし、ついでに南国リゾート気分になってもらおうと、良かれと思って勧めたマッサージが、仇になるとは...。

父は昔からマッサージが好きで、日本でもよく揉んでもらってましたが、母は生まれて初めて。当日と翌日はなんともなかったのに、月曜日の昼過ぎになって強烈な揉み返しが。それも、ちょっとした筋肉痛どころではなく、15年前に複雑骨折した左足首に激痛。伝い歩きですら冷や汗流すほどで、痛さの余り食事もできず、無理して食べたら吐いてしまう。これはヤバい。

慌ててネットで「揉み返し」を調べてみたら、結構ひどくなることがあるんですね。マッサージが気持ちいいだけに、「天国と地獄」と形容しているサイトもありました。頭痛や吐き気が来ることも多いらしい。

そして夕刻には、まったく歩けなくなり、立ち上がることもできない。仕方がないので、トイレに行く時は、私が横抱きにして運びました。母親を抱き上げるなんて初めてで、その拍子抜けするほどの軽さに驚き。日頃筋トレで鍛えていたのは、このためだったのか? 

有名な短歌「たわむれに、母を背負いて、そのあまり軽きに、泣きて三歩あゆまず」を詠んだ石川啄木と違って、涙は出なかったし、三歩以上歩きましたが、やっぱりこの軽さは衝撃的でした。もう子供である自分が、親を保護する立場になってしまった...。

仕事から戻った家内は、尿瓶を買ってきてくれたり、車椅子を借りるため友人に電話したりで大忙し。翌日の朝、家内は仕事を半日休んで、一緒に隣街のバコロド市内の総合病院へ、母を連れていくことに。通院前には、近所に住む友人夫婦が、車椅子を玄関まで届けてくれました。有り難い!


病院での診立ては、やっぱりマッサージの揉み返し。レントゲン撮ってみても、骨は折れてないし、痛みさえ引けば飛行機に乗っても大丈夫とのこと。早速、鎮痛剤と塗り薬を処方してもらいました。ちなみに外科のお医者さんは、「揉み返し」を英語で「Stress of Therapy」と表現してました。フィリピンではマッサージとは言わずセラピー、マッサージャーはセラピストと呼びます。

さて、この鎮痛剤。帰宅してすぐ服用したら、ちょっと怖いぐらい劇的な効果が。数時間で痛みはかなり治り、少し足を引きづりながらも、歩けるまでに回復。食欲も戻って、夕食はいつも通りの大食らいぶり。よかった〜〜〜。これは「おばあちゃんの足が良くなりますように」と前の晩、息子が祈ったからでしょうか? 神さまに感謝。

結果的に突然の一時介護状態になり、車椅子を使うと、思いもしなかった住宅の不具合に気付かされました。手すりは後から取り付けられるにしても、扉が小さすぎたり、洗面所のちょっとした段差が大変だったり。門扉の前だけスロープにしておいたのに、貼ったタイルが滑りやすくて、実際には使いにくい、というのもありました。

両親が要介護になる前に、フィリピン移住の下見という位置付けの今回の滞在。図らずも、受け入れ側の私にも、いろんな意味で準備を促す結果に。やっぱり高齢者配慮したデザイン(特に水回り)にして、裏庭に離れを一軒建てようかなぁ。また、お金の算段しなくちゃ。

ということで、次回に続きます。


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