2015年2月19日木曜日

なぜ日本人は荊棘の道を選ぶ?



フィリピンへの移住計画がだいぶ具体的になっていた頃、早期退職して海外に住もうという話は、職場でも時々していました。ある時、上司の課長さんから「部下が心配しとるやないか。できもせんことを吹聴するな!」とエラい剣幕で怒鳴られたことがあります。

私のモットーは「やると言ったら絶対やる」なので、その時は完全に頭に来て、上司に食ってかかって大喧嘩になったことを覚えています。今にして考えてみると、病気や怪我でもないのに、定年まで10年も残して仕事をしない生活をするのが、よっぽど非現実的なことだと思われたんでしょうね。

50歳過ぎたらフィリピンで悠々自適の生活をする。こう言うと大抵の日本人からは「生活費は大丈夫か?」「仕事辞めて、毎日することないぞ」「もったいない」...とだいたい否定的な反応が返ってきました。ところが欧米の知人に同じことを言うと、ほとんど全員が「うらやましい!」。特に冬場、寒さの厳しい場所に住んでる人にとって、南の島でリタイア後の人生を送るのは本気で夢見ることらしい。

これは日本人特有の感覚なんでしょうか? とにかく苦労するのは大事で、楽に生きようとする者を軽蔑する傾向が強いように感じます。別に修行するために会社に入った訳ではないんですが、人間的な成長を促すために敢えて難しい仕事を与える、みたいな気合い満々の上司がいっぱいいました。それを有り難いことだと受け止めて、本当に成長できる人ならばいいのですが、私の場合はさんざんジタバタした挙句に鬱病を患っただけ。

上昇志向が強くて、望んで努力する人は立派だと思います。しかしそれも個人の生き方の一つ。あまり無理せず、そこそこの生活ができる社会には、残念ながら日本はなっていない。仕方がないので住む国を変えたというのが、偽らざる気持ちです。


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